こんにちはYKです。
映画「ジョーズ」でお馴染みの人食いザメとして恐れられているホオジロザメ(ホホジロザメ)ですが、怖いもの見たさもあり日本の水族館で見れる場所はあるのか?と思い調べてみました。
日本国内では2箇所ほど展示している水族館があったようです。
調べた結果、日本では過去に島根のしまね海洋館アクアスではオス約3.5メートルの成体、2016年1月5日から飼育開始し、2016年1月8日と3日で死亡しています。
沖縄の美ら海水族館(ちゅらうみすいぞくかん)で平成28年1月5日から展示がありましたが、こちらも3日で死亡してしまったそうです。
平成28年1月5日(火)から「危険ザメの海」水槽にて展示を始めたホホジロザメですが、1月7日まで安定して水槽を遊泳しておりましたが、1月8日早 朝、状態が急変し、遊泳困難となり水槽底へ着底しました。飼育員と獣医師による処置にも状態の改善は見られず、同日死亡を確認しました。
死因の解明に努めるとともに、今回の事例から多くのことを学び、今後の飼育に生かしていきたいと思います。
引用元:美ら海水族館H.P
それどころか世界中を見渡してもホオジロザメの飼育に成功した例は、2004年にモントレーベイ水族館が、ホオジロザメを約6カ月間飼育することに成功したのが最長です。
しかし、これは体長1.5m程の幼いホオジロザメでした。
海外の水族館も含めてホオジロザメを展示している水族館は現存していません。
なぜホオジロザメを展示することができないのか?その理由は5つあります。
まずホオジロザメの特性から書いていきます。
ホオジロザメとは?
分類 | ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属 |
別名 | 白い死神 |
生息域 | 亜熱帯から亜寒帯まで、世界中の海に広く分布 (アメリカ合衆国や南アフリカ共和国、オーストラリア、ニュージーランドの周辺海域、地中海等で多く見られる。) |
形態 | 体長6m、体重1,900kg程度が最大とされている。 平均的なホオジロザメの体長は4.0〜4.8m、体重680〜1,100kg |
食性 | 動物食で、イルカやオットセイ、アザラシなどの海棲哺乳類を好み、魚類や海鳥も捕食する。 |
天敵 | シャチ |
現存する世界最大最長のホオジロザメは、2019年にハワイの海域オアフ島の南岸から約20マイルのところで確認されているメスのホオジロザメで
全長6.1m高さ2.5m重さ2.5t年齢は50歳以上のホオジロザメで「ディープブルー」と呼ばれています。
ディープブルーが2021年現在確認されている世界最大のホオジロザメですが、ニュージーランド沖では11mのホオジロザメが目撃されていたり過去には推定ではありますが、オーストラリアや台湾沖で7mのホオジロザメが捕獲されたとされています。
本題のなぜホオジロザメが水族館で飼育できないのかその理由が以下になります。
ホオジロザメが水族館で飼育できないその理由とは?
サメといえば真っ先にイメージが浮かぶのがホオジロザメですが、そんな誰しもが一度は見てみたいと思うホオジロザメがなぜ水族館に展示されないのでしょうか?
その理由を5つ挙げてみました。
理由1・・・ホオジロザメは生きたままの捕獲が難しいから
ホオジロザメは外海から餌を追って沿岸部まで広範囲を泳ぐサメで泳ぐそのスピードは最高速度50km/h以上も出るとされ、ただでさえ見つけにくいうえ攻撃性も高いため普通の捕獲方法では困難です。
通常ホオジロザメも含めサメ類は延縄(ハエナワ)漁や定置網漁で捕獲されることが多く、口に巨大な針が掛かって暴れダメージを負っていたり、定置網では掛かって数日経って引き上げられるので瀕死の状態で捕獲される場合が多いです。
沖縄の美ら海水族館で展示されたホオジロザメは定置網に掛かっていたものです。
運良く網の引き上げ寸前に掛かったものと思われます。
つまり、ホオジロザメの個体数自体が減少傾向にあるうえ生きたまま健康な状態での捕獲が非常に難しいことが理由に挙げられています。
理由2・・・ホオジロザメの飼育や輸送が難しすぎるから
運良くホオジロザメを健康な状態で捕獲してもそこから輸送する際に暴れたりして傷を負ってしまう場合もありますし、攻撃性も高いため運搬する設備や人間にも常にリスクが伴います。
更に運良くスムーズに運搬できたとしても次は飼育環境の問題も出てきます。
ホオジロザメは1日で数百kmも泳ぐことが確認されていて、常に泳ぎ続けてエラから酸素を取り入れないと呼吸ができないので、それなりの広さと深さをもった水槽が必要です。
その大きさは最低でも370万リットルの水と10.6mの深さの水槽が必要で、
国内で最大の水槽が「沖縄美ら海水族館」の『黒潮の海水槽』で、水量750万リットル、水深10m
2番目が大阪にある海遊館の『太平洋水槽」で水量540万リットル、水深は9m
となってるので、ホオジロザメが他の魚を攻撃してしまうことを考えると単独飼育でも国内最大規模の水族館のメイン規模の専用水槽が必要になります。
理由3・・・ホオジロザメの餌(エサ)の確保が難しいから
ホオジロザメの食性は動物食で、子どものうちは魚類を中心に食べます。
冒頭で書いたモントレーベイ水族館で飼育したホオジロザメも体長約1.5mの子どものサメだったので餌は魚類を与えていたそうです。
しかし、ホオジロザメは成長するとイルカやオットセイ、アザラシなどの海棲哺乳類好んで食べるようになります。
特にホオジロザメは狩りをして餌を食べる習性がありますが、生きたままのオットセイやアザラシなんてそうそう手に入るものでもありません。
(そんな給餌をしていれば各方面からの非難も凄そうです)
現在水族館で飼育されている動物食のサメは1週間で自分の体重の10%程度の餌を与えるそうです。
ホオジロザメも同様だと仮定して例えば平均的な成体の4m、1.5t程度のホオジロザメを飼育しようと思ったら毎日20kg程度の動物食が必要です。
年間で考えるとかなりの費用ですよね。
また、ホオジロザメは神経質な所もあるので環境が変わると特定の餌を食べなくなったり、食事自体をしなくなったり、ストレスで水槽の壁にぶつかってケガをしてしまったりするそうです。
ちなみに、ホオジロザメは自重の30%程度食べれば満腹感を得れるそうです
3つ目の理由は高額な餌代や餌の調達、餌を食べる環境作りがとても大変ということです。
理由4・・・ホオジロザメの攻撃性がとても高いから
映画の様にホオジロザメの方から人間を襲う事例は非常に少ないものの、それでも世界では年間に60〜80件のサメによる攻撃を受けた事例があります。
ちなみに、この数字は、サメからの一方的な攻撃の数字であって人間が触ろうとしたり漁業中の事故などは含まれていません。
太平洋の小さな島やアフリカの小さな漁村の方では、全ての情報は出てきにくいでしょうから、実際にはこの数字の数倍〜数十倍はサメによる事故事例があると言われています。
毎日の給餌や水槽の清掃をする飼育員さんの事故リスクは、一般人の非では無いはずです。
例えホオジロザメに攻撃の意思がなくても、あの鋭く長い歯と生物界最強クラスのアゴで咬まれたら怪我では済まない場合もあります。
また、ストレスなどで攻撃性が高まると同じ水槽の魚を攻撃してしまう危険もあるので他の魚類と一緒に飼育するのは難しいです。
つまり、ホオジロザメの攻撃性と攻撃力ゆえに飼育員さんに常にリスクがある事とその攻撃性から巨大な水槽で単独展示しか出来ないということが、4つめの理由です。
理由5・・・ホオジロザメの飼育には莫大なコスト(費用)が掛かるから
ホオジロザメを捕獲・輸送し水族館で飼育するにはとてつもない費用が掛かるとされています。
ホオジロザメは海に出れば捕まえれるというものでもなく、飼育するのに適したサイズを広い海から探し出し、出来るだけ健康な状態で捕獲、輸送しなければなりません。
短くても数週間、場合によっては何ヶ月も掛かるといわれています。
漁師さんの協力を得ながら捕獲し、輸送するための設備や滞在費などを考えればそれだけで、数百万単位の金額になります。
やっとの思いで無事捕獲したとしても、飼育や収容するための水槽やポンプ類の設備投資には数億〜十数億円以上の莫大な費用が必要です。
そして、飼育を始めても餌代や水道代、電気代などの光熱費や設備の維持管理で年間数千万円の経費が掛かります。
それだけ莫大な費用を掛けて、飼育してもホオジロザメの攻撃性からせっかくの巨大な水槽なのに他の魚を一緒に展示することが出来ません。
だからといって水族館側は飛び抜けた入館料に設定をするわけにもいかず、掛かる費用に見合うだけの収益を得ることは非常に難しいでしょう。
国内最大規模の大阪府にある海遊館が、コロナ禍以前の2019年3月の決算で売上高91億円、利益が約7億円ですから、既存の設備を利用せずにホオジロザメを展示しようとしても、飼育が上手くいくかどうか分からない(失敗する可能性の方が高い)状態での利益以上の莫大な設備投資は、難しいでしょう。
海外でも成功事例のほとんど無いホオジロザメを水族館で飼育するのは、莫大な投資に比べて収支が見合わないのが、5つめの理由です。
今回の記事のまとめ
今回の記事では、
・ホオジロザメが水族館で展示出来ない5つの理由
現時点では人間の手に負えない海の王者ですが、いつか水族館で見れる日が来るのでしょうか?
ホオジロザメの生態についてはまだまだ研究のされていない分野も多く、今後研究が進んでいけばあちこちの水族館で見れる日が来るかもしれませんね。
ホオジロザメはまだ見れなくても、巨大水槽のある沖縄の美ら海水族館と大阪の海遊館はぜひ足を運んでみて下さい。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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